基督兄弟団教憲

1993年3月26日制定

[前文]

基督兄弟団は、イエス・キリストをかしらとする公同教会である。わが教団は聖徒らによって伝えられたウエスレー・アルミニウス主義を基調とする福音的信仰の教理と実践的信仰生活を健全に保持する。これを宣べ伝え、証しし、次の世代に継承していくため、教職、信徒の準拠すべき指針として信仰・倫理・政治の三箇条を制定し、これを教憲として公布する。

第一章 信仰箇条

[第一条]真(まこと)の神

神は永遠、不変の霊であり、本質において父、子、聖霊の三位一体の神である。

(1)父なる神

父なる神は、万物の創造者、主権者で、遍在・全能・全知・知恵・良善・至聖・至愛・義・真実の属性を有する神である。

(2)子なる神

子なる神イエス・キリストは、父なる神と本質を等しくされる真(まこと)の神であり、また真(まこと)の人である。彼は聖霊によって処女マリヤより生まれ、全人類の贖罪のために十字架につき、死んで葬られ、陰府(よみ)にくだり、三日目に復活し、今は天において、われわれのためにとりなしをしておられる。彼は終わりの日に聖徒を迎えるため、また不信の世界を審判するために再び来られる。

(3)聖霊なる神

聖霊なる神は、父なる神と子なる神と一体であられる。人格をもち、本質と威光と栄光とにおいて永遠・全知・遍在の神である。彼は人々に罪を示し、回心と聖き生命を与え、真理に導き、イエス・キリストの教会を建て上げるために働かれる。

[第二条]聖書

聖書は、神の霊感を受けた人々によって書かれたもので、誤りのない神のことばである。この聖書は、旧約と新約の66巻から成り立ち、その中心はイエス・キリストであり、信仰と生活の唯一の規範である。

[第三条]教会

教会は、主に召され、イエスを主と告白する人々の集まりで、キリストをかしらとするからだである。この教会は、公同教会と各個教会にあらわされる。

公同教会は、歴史を超え、すべての国民の中からキリストによって選ばれ、霊的に新生し、その名を天にしるされたすべての人々によって構成される。

各個教会は、神によって新生し、聖霊の導きによって聖徒の交わりに加わり、礼拝と奉仕のために結ばれるようになった人々によって構成される。

[第四条]四重の福音

イエス・キリストの十字架の死と復活とを通して与えられる恵みは、新生、聖化、神癒、再臨の福音である。これを四重の福音という。

(1)新生

新生とは、罪と咎に死んでいる者が、神の御霊により、イエス・キリストに在って神に対する 悔い改めと、イエス・キリストの贖罪の血を信じる信仰を条件として与えられる神の新創造の御業である。この御業により罪が赦され、義とされ、永遠の命が与えられ、神の家族に受け入れられ、子としての特権に回復される。この義認、新生、神の子とされることは瞬時に起こる同一の経験である。

(2)聖化

聖化とは、新生に続き、罪の悔い改めと放棄、全き献身、そしてキリストの贖罪の血を信じる信仰によって、古き人の十字架による磔殺(たくさつ)と聖霊のバプテスマによって、瞬時的に内住の罪からきよめられる恵みの第二の御業である。この恵みは聖霊の証しによって確証され、信仰と服従によって保持され、キリストのみ姿にまで成長する。

(3)神癒

神癒とは、キリストの贖罪の中に含まれている恵みの御業である。これは信仰に立ち、求める者に、聖霊によって与えられる病の癒しであり、やがて来る栄化の手付けでもある。

(4)再臨

再臨とは、福音の究極的な恵みで、イエス・キリストが終わりの日に贖罪の御業の完成のために、世界の王、審判者として再び来られることである。空中再臨の時、聖徒たちは栄化され、携挙の恵みにあずかる。続く地上再臨によって、主キリストは花嫁とされた教会と共に地上に顕現され、千年王国が出現する。その終わりに死者の復活が起こり、最後の審判が行なわれ、新しいエルサレムを中心とする新天新地が到来する。

[第五条]祈祷と宣教

祈祷と宣教は、キリストの花嫁である教会の完成のために、御霊による重荷として教会に与えられた本来の使命である。

(1)再臨の待望と促進

再臨信仰は、御霊による聖き生活、花嫁なる教会の喜びの応答としての祷告や主のみこころによる宣教をもたらし、主の来臨を待望し、促進する。

(2)イスラエルの回復

預言者たちを通して語られた神のことばは成就して、千年王国が実現する。その御国の中心的な民はイスラエルである。キリストの再臨にともなうイスラエル民族の救いが成就され、彼らが世界の祝福の基(もとい)になるよう祷告する。

(3)国内宣教とリバイバル

愛する同胞が、イエス・キリストのもとに立ち返るために、福音の宣教を忠実に続ける責任がある。そして、日本にリバイバルが与えられて、偶像を捨て、真の神に仕える民になるように祈りと宣教に励む。

(4)世界宣教とリバイバル

世界宣教は、主よりの至上命令である。再臨を目前にした教会は、この宣教命令に応えるために世界的規模のリバイバルを祈り求めつつ、積極的に世界宣教に励む。

[第六条]聖礼典

聖礼典は、イエス・キリストによって制定されたものとして教会が執行すべき礼典であり、洗礼式と聖餐式の二つである。

(1)洗礼式

洗礼式(バプテスマ)は、罪を悔い改めて、イエス・キリストを救い主として信じ、受け入れた者、すなわち新生した者に施される恵みの礼典である。洗礼は、本人の信仰告白を条件として行われるものである。

(2)聖餐式

聖餐式は、主イエス・キリストの十字架の死を記念し、その贖いの恵みに、信仰をもってあずかるために、主自ら制定された聖礼典である。信仰をもって受ける者にとって、裂かれたパンはキリストの体にあずかることであり、祝福の杯はキリストの血にあずかることを意味する。

主の聖餐は契約のしるしであり、交わりであるから、洗礼の恵みを受けた者のみがあずかることができる。

第二章 倫理箇条

[第七条]権威

最高の権威である神に従う者は、上に立てられた権威に従うべきである。存在している権威はすべて神によって立てられたものである。みことばに反しない限り、家庭・学校・職場、その他すべてのところで、権威に従うことが主にある者にふさわしい姿である。

[第八条]礼節

すべての人との関わりは、言葉・態度・行為において兄弟愛と尊敬の念をもってなすべきである。たとえ親しみ深い交わりがあっても、守るべき節度を忘れてはならない。特に年長者に対する尊敬の念を養い、異性に対しては聖き思いをもって接する態度が必要である。

[第九条]富、金銭

すべての富、金銭の真の所有者は神であって、この地上の生涯にある間は、管理を委任されているに過ぎないことを正しく認識すべきである。この認識によって富、金銭を聖別し、主に献げる恵みに富み、自らも節制をもって使用すべきである。

[第十条]婚姻

婚姻は神の定められた秩序であるから、当事者は神のみこころを求めて祈り深く配偶者を選ぶべきであり、牧師の指導と助言に従うことが大切である。また結婚式は摂理の神に対する誓約が中心である故に、教会員は必ずキリスト教式の結婚式をすべきである。なお、姦淫以外の離婚は認めない。

[第十一条]キリスト者生活の判断基準

教会・家庭・学校・社会などにおいて信仰生活を妨げ、霊的退歩をもたらすものは合法的な娯楽や趣味であっても、深い祈りの中にあって聖別していかなければならない。その行為の判断基準は絶対的に規定できるものではないが、みことばに基づき「それは神の栄光をもたらすか」「徳を高めるか」「悪の習慣のとりこにする傾向はないか」「臨在信仰を妨げるものとならないか」「聖霊を悲しませていないか」などによって判断や吟味をし、行動すべきである。

第三章 政治箇条

[第十二条]政治理念

教団は、教会のかしらであるイエス・キリストの主権と摂理のもとに、総会で選ばれた理事会が監督制の理念にもとづいて合議し、教団政治を行なう。

[第十三条]教団行政

教団は、教団総会をもって最高意志決定機関とする。教務は教団総会の決議、並びに教憲・教規の定めるところに従い、理事長が統括し、これを執行する。

[第十四条]教区

教団は、使命を遂行するために全国を地域ブロックに分け、各教区を定める。教区長は、教区内教会の福音宣教のため協力し、交わりを深める。

[第十五条]被包括教会

教団の包括する教会は、理事長が任命する教師によって牧会され、教憲・教規に定められた信仰告白に立ち、その規則を遵守する者たちの群れである。被包括教会は教団財政に対する責任を負う。

[第十六条]教会の任務

教会は主日礼拝を守り、聖礼典を執行し、祈祷と宣教の使命を遂行する。教会は信徒の交わりを豊かにし、霊的成長のために教育と訓練を計り、祈り会・聖書研究会・家庭集会その他の集まりをする。聖礼典は正教師および准教師がこれを執行する。

[第十七条]教師

教団の教師は、神の召しを受けて献身し、所定の教育と訓練を経た後、教職委員会による認定を受け、理事長により任命を受けた者である。

[第十八条]信徒

教団の信徒は、新生の経験を経て、教団の信仰告白(教憲)に立ち、バプテスマを受け、被包括教会に加えられた者である。

[第十九条]教憲の改正

この教憲は、教団総会の議決を得た日から執行する。